愛
大好きな友人とファミレスで飲んだ。
その子が大好きだから場所なんて、味なんてどうでも良くて、一緒にいたいから理由を作るみたいにお酒とおつまみを頼んだ。
無理して生きている時間が長すぎて、そういうことを忘れていたことに気づいた。
その子は大きく切れたものじゃなく、小さい方のスモークサーモンをちょこちょことつまんで食べていた。最後のスモークサーモンには手を付けなかった。他でもそうだった。わたしが年上だからかもしれない。でも愛ってこういうことだなぁと思う。
また別の友達は自分自身をよく理解していて自分の行動を一つ一つ反芻して私に迷惑ではないか気にしていた。
最後、スマートフォンを忘れてしまい反省した様子だったがそれも私に対する愛だと思った。気にしなくていいと本気で思った。
また別の友達は遊ぶとき財布を忘れてしまい、わたしがプリプリ怒っていたからと利子付きでお金を返してくれた。その気持ちだけでいいと思った。
なんとなくわかるのである。いや、そんな気がしてるだけかも知れないけれど、きっと分かってる。その人の顔とか声とか性格とか小さな行動とか、ああ、この人私のこと大事に思ってくれるんだなと。
私は性格が悪い。
その上、疑りも深い。
家族は私をおそらく条件付きでしか愛してくれなかったから、未だに愛というものをどう与えてどう受け取ればいいのか分かってない。
だから人は相当やさしくないと私と友達でいてくれない。だから私の友達はみんないい人だ。ほんとうに。
これがわたしの今、持つ愛のすべてである。