あの日のこと
友人に会いに行った。
帰りに一人で食事に行った。
美味しくて気分が良くなった。
帰りにデザートにアイスクリームを買って食べていると知らない男性に話しかけられた。
「おいしい?甘い?甘い?」
うるさい。
うるさいうるさいうるさいうるさい。
静かにしてほしい。
あなたみたいな人間が私の時間に入る可能性は一ミリもない。
死んでしまえ。
そういうとき私が男から離れるためどこかへ移動しなくてはいけない。
それからアイスクリームの味が無くなった。
男が近くにいるような気がして。
食べ途中のアイスクリームを捨てて、わたしは駅の中を歩きはじめた。
そしたら知らない男性にすれ違いざま太ももを殴られた。
痛かった。
しばらくそこを動けなかった。
散々だった。
みんな私を振り返るが声をかける人はいなかった。
私が男の子だったら、アイスクリームは最後まで美味しかっただろうか。私が男の子だったら殴られることは無かっただろうか。私が男の子だったら警察の聴取で女性の警察官を一時間も待つ必要もなかったのだろうか。現場写真を撮るとき男性からジロジロ見られたりしただろうか。
そんなことばかり考えた。
事件は一瞬だった。
聴取は長かった。
また警察署にも行かなければいけない。
誰かのストレスか性癖か
そんなものの解消にわたしの肉体は傷つけられたのだろうか。
抵抗するにはパワーがいる。怒ることには勇気がいる。逮捕には時間がいる。
パワーと勇気と時間を世の中の女の子はどれだけ持っているのだろうか。
持っていなかったらどうするのだろうか。
あなただったらどうしますか。
ところで、この先の日本の女の子にいい未来が待ってると思いますか。