おーえる放浪記

毒親から離れ、色々なところを転々としています。ミスiD2019ファイナリスト。Twitter@MC88009062

出会った生き物の中で一番好き

こんな夜にモルちゃんがいてくれればなぁと思う。元気に過ごしていたつもりでもやっぱり仕事では紛らわせられないんだなぁ。

 

今日、獣医をやっている方が店に来た。いつも嫌な患者(ペット)の愚痴を言う。死にそうな老犬を押し付けられたとか、そんな話を笑いを取りたいのか面白おかしく話そうとするからなんというか、はっきりいうと嫌いだ。モルちゃんにもっと生きてほしかった私としてはそのクソみたいな話を聞きたくない。そこでヘラヘラ笑って相槌をうてればいいのだろうけど、そうしない私が変わり者だったり真面目扱いされるのはなぜだろうか。私は間違ってないし、変人じゃないし、真面目でもない。

 

あの日、死にそうなモルちゃんを抱えた私の後ろを救急車が通った。人間だったら救急車を呼べたのにと思った。

 

昼間、動物病院に連れて行ったら「モルモットを医者に見せるなんて優しいわね貴方」と犬を抱いた婦人に言われた。お前が苦しめばいいのにと思った。

 

夜中にモルちゃんの体調が急変して、どこに電話をかけても「モルモットは診れない」と言われた。電話をかけるたびに言われた。何十回目に言われたとき思いきりスマホを投げてしまった。いつの間にか柔らかくてふわふわだったモルちゃんの体が硬くなっていた。たくさん泣いた。誰かの声ではっとすると私はモルちゃんの亡骸を抱えて倒れていた。男の人が「救急車」だの「警察」だの言っていたがなんとやりとりしたか覚えていない。わたしは「大丈夫です」と言って死んだモルちゃんを抱えて立ち上がったのは覚えている。

 

なんとかたどり着いた動物病院のインターホンを何度も鳴らした。応答がなくてそこでうずくまった。先生が起きてくれて、診てもらえた。死んでしまっていたけど、死んでいると言ってくれないと私が諦めきれなかった。モルちゃんは私に一度も眠る姿を見せてくれなかったんだけど最後も少し目を開けて遠くを見るように逝ってしまった。でも可愛かった。生きてるときも可愛かったけど。最後までブレなくて素敵な子だった。

 

モルちゃんは私のことを好きじゃなかったと思うんだけど、たぶん私達だけの阿吽の呼吸があった。たった二ヶ月だったけどそれが幸せだったと今になって思う。あんまりあげるとよくないから毎日少ししかあげてなかったキュウリもタンポポも最後には口元まで持っていっても食べられないくらいになってしまっていた。最後になるならたくさん食べさせてあげればよかった。

 

なんでモルちゃんが死ななければいけなかったんだと今でも思う。

 

わたしたちの後ろを救急車が通ったとき、モルちゃんが人間だったらこの車に乗ってすぐ治療ができたのにと思った。だから来世は人間になってほしい。あなたは怒りっぽいけど優しいし、すごく可愛いから人間になったらきっとモテるし、人間の病院ならたくさんあるし医学も発達しているし、実験台になんてならなくてもよくなるから。

 

天国はタンポポ生えていたらいいな。キュウリもたくさんあったらいいな。最後助けられなくてごめんね。生まれてくれてありがとう。出会えてよかった。