おーえる放浪記

毒親から離れ、色々なところを転々としています。ミスiD2019ファイナリスト。Twitter@MC88009062

家族の呪いから抜け出すには

兄弟が多い人は食べるのが早い。

兄弟の中で一番下の子は兄に好きなものを取られないように好きなものから食べる傾向にある。

母親から「あんたはダメな子ね」と言われて育った子は大人になっても自信が持てず、否定されることを極端に怖がる。

そんな風に育成環境によって性格なり癖なりが形成される。

私の中国人の母親は心配性でとても疑り深い人だった。おまけにお金持ちと結婚してほしいから太るな。結婚前にセックスすると癌になる。などと偏ったことを言って私を監視したがる人だった。そして、私に何か起こったり思い通りにならないと慌てふためいて怒鳴って泣き出し殴って私を責め、度々おおごとにするのであった。

だから、私は自分と周りの人を守るために母に本当のことはあまり話さなくなった。だから今でも誰かに何か聞かれると正直に答えてる感じに嘘をつく癖がある。真実味を持たせるため話に無駄に尾ひれをつけてみたりもする。

例えば、食べたものを食べたことない、だとかやったことをやってない、と不自然でないように笑顔で即答して、なおかつ言っても良いだろうということは言う必要もないことまで正直に言ってしまう。まるで身の潔白を証明したい被疑者のような気持ちで。

高校生ぐらいになってから気づいたのだが、母以外の人にも疑われていると感じるとそんな嘘をつく。そして母と離れた今でもその癖が治らず、たまになんであのときあんな嘘ついたんだと後悔することがある。母に疑われ続けた結果、他者に疑う意図があろうがなかろうが、疑われてると勝手に感じて「疑われたくない」と思ってまた必要のない嘘をつく。そしていつもそんな場面では私の中の幼い自分が「私を疑わないで」と心の底で悲しい顔をしている。

先日、友達の女の子の悩みを聞いていた。話していて私が解決策や共感エピソードを出しても「でも」が多いし、なぜ傷ついたか、なぜ自分はこんなに辛いのか弁解しているような口調だった。今まで、誰かに何か相談しても大したことないとか言われてまともに取り合ってもらえなかったゆえに、相手の意見が否定的に感じてしまい、必死に弁解してしまっているのだと感じた。

親との関係は閉鎖的で内部的なものが多い。家族はいわば、小さな社会であって、家族間だけしかないルールや独特な協調性がある。個人一人が社会的に問題があって、変わった人間だった場合、社会的には疎外されるだろう。しかし、家族という小さい社会での父親なり母親なり権力をもっていれば家族という小規模な社会の中で子供にとっては絶対的な立場になる。そんな中で育ってしまった子供はその小さな社会で生き抜くための珍妙な術を会得し、いざ、大きな社会に出たときに壁にぶち当たる。そして気づく。私、変な癖ついてるぞ、と。

こういう状況から抜け出すには家を出て、対象者の呪縛から逃げるしかないと思っている。抜けるには本当に勇気がいる。私は親にかなり依存していた部分もあったし、世間には「親は敬え、大切にしろ」という価値観が強くある(子供を殺す親だっているのにね。私達はたまたま殺されなかっただけかもしれないじゃない。)だから時には非難にあうこともある。何より自分の中で変わってくれるのではないかと母親に期待していた部分があったからそれを捨てるのに時間がいった。

ただ、世の中には私と同じように母との関係で苦しんでいる人は意外にもたくさんいた。

私は田房永子さんの「母がしんどい」という本に勇気をもらった。もしあなたが苦しんでいるなら自分と同じ経験をした人を見つけて、その人がどのような選択をしたかも調べてみたらいいと思う。

今回は「家族」と書いたけど、家族じゃなくても、その人といるのが辛かったらその人を捨ててもいいんだよ。私は母ともう6年会っていない。